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免税事業者が事業用不動産を売却した場合
非課税も売却年以降の消費税の影響に注意
平成28年10月25日号
不動産の売却はその対価が多額になることから、消費税の負担への影響が大きくなる。土地・建物を売却した場合、建物は消費税の課税対象だが、土地は非課税となっている。ただし、自宅などの非業務用の建物は、たとえ課税事業者であっても、消費税は課税されない。問題となるのは、貸家やアパート、店舗などの建物である事業用不動産の売却だが、ここでも消費税が課税されるのは課税事業者のみとなる。
免税事業者に該当する場合は、その対価がどんなに大きくても、売却に係る消費税の負担は生じない。
しかし、注意したいのは、売却した年以降の消費税に影響を及ぼすことだ。免税事業者が業務用建物を売却した結果、その年の課税売上高が1000万円を超えた場合には、翌々年に課税事業者となるので、翌々年に課税売上があった場合には、その分に消費税が課税されることになる。
また、平成25年1月1日以後に開始する年については、特定期間(その年の前年の1月1日から6月30日までの期間)の課税売上高が1000万円を超えた場合には、基準期間(前々年)の課税売上高が1000万円以下であっても、翌年から課税事業者とされる。
ただし、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできるので、その6ヵ月間の給与等支払額が1000万円を超えていなければ、免税事業者と判定することができる。
したがって、給与等支払額の状況によっては、特定期間を避けて、7月以降の売却を検討する必要がある。そのほか、基準期間の課税売上高が5000万円を超える場合には、消費税簡易課税制度選択届出書を提出している場合であっても、当課税期間については簡易課税を適用することができない。つまり、建物の売却により基準期間の課税売上高が著しく増加すると、課税事業者の判定や簡易課税制度の適用の可否にも影響が及ぶことになる。
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