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平成29年度与党税制改正大綱の概要について

平成29年1月5日号

平成29年度与党税制改正大綱の概要

昨年12月8日に平成29年度の与党税制改正大綱が決定されたが、その目玉は、所得税の配偶者控除の見直しや中小企業向けの設備投資減税や所得拡大促進税制等の租税特別措置法の拡充である。

税制改正大綱に盛り込まれた改正案の主な内容は以下の通り。ただし、改正の内容は、今後の国会審議の動向により異なってくる場合があるため、ご留意頂きたい。

【個人所得税関係】
●配偶者控除
平成30年分以後の所得税より納税者本人が適用を受ける配偶者控除について、配偶者の年収制限を150万円(現行103万円)に引き上げる。配偶者控除額は納税者の合計所得金額に応じて、38万円(合計所得金額:900万円以下)、26万円( 〃 :900万円超950万円以下)、13万円( 〃 :950万円超1,000万円以下)とされ、合計所得金額が1,000万円を超える納税者については適用できない。なお、配偶者の年収が150万円を超えても201万円以下までは段階的に縮小しつつも控除(配偶者特別控除額)が受けられる仕組みとする。
●NISA制度
現行のNISAと選択適用できる積立NISAが創設される。現行のNISAと大きく異なる点は投資額と非課税期間である。現行のNISAの投資上限額は年間120万円で、非課税期間は5年間であるが、積立NISAでは、投資上限額は40万円と小さくなるものの非課税期間は20年と長期にわたる。現行のNISAと同様非課税期間の譲渡所得や配当所得は非課税となり、売却損失はなかったものとみなされる。対象となる投資商品は現行NISAより少なくなり、より長期分散投資に適した投資商品に限定される。

【法人税関係(中小企業税制)】
●所得拡大促進税制
現行制度である給与総額の増加額に対する税額控除額(控除率10%)を確保しつつ、前期比1人当たり給与支給額の増加率が2%以上である場合における税額控除額を以下の通りとし、給与総額の増加額に対して最大22%の税額控除が可能となる(所得税についても同様とする)。
税額控除額(改正による拡充)=「基準年度比当期給与増加額の10%+{基準年度比当期給与増加額又は(当期給与額-前期給与額)の何れか小さい方}×12%」
●中小企業経営強化税制
中小企業向け設備投資促進税制の適用期限を平成31年3月31日まで2年間延長するとともに、中小企業経営強化税制を創設し、従来対象外であった器具備品・建物附属設備を対象資産に追加する。これにより、青色申告書を提出する中小企業者等で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたものが、一定の設備(機械装置、器具備品、建物附属設備、ソフトウェア等)を取得して、国内にて指定事業の用に供した場合には、その取得価額の100%即時償却かその取得価額の7%の税額控除のいずれかを適用できることになる。
●中小企業研究開発税制
平成29年4月以後開始事業年度から、対象となる試験研究費に「サービス開発」としてデータ解析やAI等の開発が加えられた。また、これまで試験研究費の総額による税額控除(総額型)と試験研究費の増加による税額控除(増加型)に分かれていたものが総額型に一本化され、試験研究費の増減割合に応じ12~17%(大企業は6~14%)の税額控除となった。※法人税額の25~35%を限度とする。
さらに試験研究費割合による税額控除の経過措置も平成30年度まで延長され、上記との選択適用が可能となっている。

【資産税関係】
●相続税納税義務者
日本国籍を有する相続人等で日本国内に住所を有しない者に係る相続税の納税義務については、現行、被相続人等及び相続人等が相続開始前5年以内に国内に住所を有したことがなければ、国外財産は課税対象外となる。今回の改正で上記期間が5年から10年へ伸長する。つまり、被相続人等及び相続人等の双方が10年超日本に住所を有しないこととならない限り、国外財産についても相続税が課される。
なお、贈与税の納税義務についても同様であり、平成29年4月1日以後の相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
●非上場株式の評価方法
非上場株式の評価方法の「類似業種比準価額方式」について以下の様な見直しが行われた。
・比準対象となる上場会社の株価に「課税時期の属する月以前2年間平均」が追加される。これにより、より平準化された株価の採用が可能となる。
・比準対象となる上場会社の決算数値をこれまでの単体ベースから連結ベースとする。
・比準要素のウェイトについて、利益のウェイトを小さくする。これにより、事業承継対策としての損出しによる株価下落効果が薄くなる一方、純資産が大きい会社は株価が上昇する可能性あり。
・評価会社の規模区分が変更され、「大会社」「中会社」の適用範囲がそれぞれ拡大する。これにより、純資産価額方式よりも類似業種比準価額方式の割合が大きくなる。
※上記は通達の改正となり、平成29年1月1日以降の相続・贈与より適用。
●タワーマンション固定資産税/相続税評価額
高さ60m超の超高層建築物に係る固定資産税・都市計画税・不動産取得税(以下「固定資産税等」)について、各階毎に傾斜をかける。現在は床面積が同じならば階層に関わらず税額が同じであったが、改正後は階数が1階高くなるごとに約0.25%加算されていく。50階建ての超高層建築物の場合、1階は現状の税額より6%減少し、50階の場合は現状の税額より6%増加する計算となる。本改正は、平成30年度から新たに課税されることとなる超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含む建築物を除く)について適用され、既存の超高層建築物については現行制度から変更はない。
なお、気になる相続税についてだが、今回の改正はあくまで固定資産税等の税額ベースの改正であり相続税評価額の改正ではない。ただし、今後の税制改正においてタワマンに係る相続税節税を抑制する改正が議論される見込である。

【その他】
●仮想通貨
これまで(通貨ではなく)貴金属や骨董品のようなコモディティの一種であるモノとして取り扱われてきたビットコイン、イーサリアム、リップルなどの仮想通貨の譲渡について、平成29年7月1日以降については消費税を非課税とすることとされた。
●酒税
平成32年10月から段階的に「ビール」税率は下がり、「第三のビール(新ジャンル)」税率は引き上げられ、平成38年10月以降に「ビール」「発泡酒」「第三のビール(新ジャンル)」の税率は一本化される。また、清酒(日本酒)、果実酒(ワイン)の税率も一本化され、ホップ及びチューハイ等の税率は引き上げられる。平成30年4月1日以降、ビールの定義が見直され、果実や一定の香味料を麦芽比5%以内で使用したものを認めるほか、麦芽比率を67%→50%に引き下げて、地域の特産品を用いた地ビール等の開発を後押しする。

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