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相続税に「遺言控除」の創設を
29年度めどに自民党特命委が検討を開始
平成27年8月25日号
政府・与党は、有効な遺言による相続を条件に、一定額を相続税の基礎控除額に上乗せして控除する「遺言控除」を新設する方針を固めた。
これを受けて、自民党政務調査会「家族の絆を守る特命委員会」(委員長・古川俊治参議院議員)はこのほど会合を開き、家族の絆を強くするための税制のあり方として、「遺言控除」の新設へ向けての検討に入った。
会合では、講師の葉梨康弘衆議院議員(法務副大臣)が、政府内の検討状況等を説明するとともに、「遺言控除」の新設を提案した。
遺言に基づく遺産分割を促して遺産分割を巡る遺族間の争いを抑止し、若い世代にスムーズな資産移転を図るほか、介護による貢献に見合った遺産相続を進めることで、在宅介護の促進などを狙っている。
遺言控除は、被相続人の遺言に基づいて相続が行われた場合に、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)に上乗せする形で一定額を控除する仕組みを想定している。
相続税では、まず①各相続人の課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出する。次に②課税遺産総額を各法定相続人が法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算し、③法定相続人ごとの取得金額に税率を乗じて算出した税額を合計して相続税の総額を計算する。④相続税の総額を、財産を取得した人の課税価格に応じて割り振って、財産を取得した人ごとの税額を計算した上で、⑤各種税額控除額の控除や2割加算などの調整をした残額を納付する仕組みとなっている。
今年1月から基礎控除額が大幅に縮減され、相続税課税の間口が広がったともいわれており、基礎控除額に上乗せされる遺言控除の創設は大いに注目される。
ただ、相続税の課税対象のうち、遺言を残した件数は現在2~3割ともいわれており、控除を受けるために有効な遺言の形式をどのようにするかなど制度設計に課題は残っている。
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