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平成26年9月16日号
東京地方裁判所はこのほど、東京都の都市計画事業により買い取られた土地代金の収益計上時期をめぐる訴訟において、売買代金が益金に計上されるのは、売買契約締結日の属する事業年度であるとして、原告法人の主張を棄却する判断を示した(平成24年(行ウ)第549号・平成26年1月27日判決)。
《判決要旨》 収益は、その収入の原因となる権利(収入すべき権利)が確定した時の属する事業年度の益金に算入すべきと解される。また、不動産の譲渡取引では、「引渡しがあった日」が必ずしも明らかでない場合があるため、代金の支払いに関する約定の内容や実際の支払状況、登記関係書類や建物の鍵等の引渡状況、危険負担の移転時期、その不動産から生ずる果実の収受権やその不動産に係る経費の負担の売主から買主への移転時期、所有権の移転の時期等の取引に係る諸事情を考慮して、不動産の現実の支配がいつ移転したかを判断し、その移転した時期をもって、不動産の「引渡しがあった日」とするのが相当である。
これを本件についてみると、本契約では、①契約締結日である平成20年11月に所有権が東京都に移転すること、②本件売買契約締結後直ちに所有権移転登記に係る手続に必要な書類を提出すること(20年12月登記完了)、③所有権移転登記完了後売買代金を支払う旨が定められており、④東京都は20年11月以降、借家人等との間で本件と地上にある建物の移転等に係る個別契約を締結している反面、原告(12月決算)はそれに全く関与していないことなどの各事情を総合的に考慮すると、本件土地の現実の支配は20年11月に原告から東京都に移転し、本件契約の締結日が「引渡しがあった日」であると認められる。
原告は、本件契約では、本件土地の引渡時期が本件土地上の建物の移転が完了したときと記載されており、建物を移転させない限り東京都が実際に使用収益できないため、建物の移転が行われた21年6、7月が引渡日である旨主張するが、「引渡し」が固定資産の現実の引渡による占有の移転のみを意味するとは解し難く、建物移転完了時期のみをもって、本件判断が左右されるとまでは言い難い。
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